テレビって本当に嘘つき

先日の夕方、外出から帰ってきて、ホッとして何気にテレビをつけたら、酒場を紹介する番組をやっていました。
どこかで聞いたようなお店の名前。
あ、学生の頃に月に2~3回の頻度で通っていたお店でした。

懐かしいと言えば懐かしいのですが、実際のところは、すでに代替わりしていましたし、再開発で今は仮店舗なのだそうで、場所も違っているし、それほどの感慨は無かったのです。

実はこのお店、数年前にも別の番組、やはり酒場を紹介する番組なのですが、そこにも出ていたことがあって、その時は懐かしさでまた行ってみたのですよ。当時、一緒に飲みに行っていた友人を誘って。
その時にはすでに代替わりはしていましたが、先代の女将さんもときどきお店に出ているということでした、
私はその先代の女将さんが大好きだったのです。少し訛っていて、ものすごくのんびりした話し方。女将さんと話をするだけでもとても癒されました。
とは言え、お客さんの方を向いていない時はすごく厳しい顔をしていたので、実際はけっこう気性の激しい人だったのかも知れません。お客さんの方に顔を向けると、たちどころにやわらかい表情になって、優しく話しかけるのです。とてもプロフェッショナルな人だったのかも。
その先代の女将さんに会いたくて、行ってみたわけですが、あいにく、その日はお店に出ていませんでした。

今の女将さんは、その先代の女将さんの娘さん。先代に比べるとチャキチャキした感じではありますが、人好きな感じは女将さん譲りなのかな、何となく面影があります。そして、いつも笑顔でいる感じは、酒場の女将としてはとても適っていると思います。

女将さんの人柄や、それほど高くない価格設定、ただお酒を飲みに行くのなら、これで十分です。申し分ない。
ただ、正直なところ、お世辞にもお料理はおいしいとは思えなかったのです。

学生の頃に通っていた時も、おいしいから行くというよりも、ある集まりがあって、そこから駅に向かう途中にある、そしてそこが住宅街ということもあり、他にお店が無かった、ただそれだけの理由でそのお店を選んだということなのです。
女将さんの人柄が無ければ、続けて行くことはなかったと思います。

数年前にテレビで紹介された時に、イチオシのメニューとして紹介されていたものがあって、久しぶりに行った時はそれを食べてみました。正直なところ、おいしくないではなくて、不味かった。お肉の料理なのですが、火を通し過ぎて固くなってしまっていました。その時は、新しい方の女将さんの旦那さんが料理担当でしたが、他に注文したものもどれもおいしくなかったな。
そのイチオシのメニューだったはずのものが、今回の番組では一切紹介されていませんでした。
また、私が行った時は、旦那さんだけが料理を作っていましたが、今回の番組では、むしろ奥さん(女将さん)の方がメインで料理を作っているようにも見えました。
もしかして、旦那さんが下手すぎて交代したのかな?

番組の出演者は、もちろん料理を持ち上げるのでしょうけど、本当においしいのかなとやっぱり疑問に思ってしまいます。それが嘘であっても、立場上しかたないよね。
仮においしいとしても、何と言うか、そのお料理に特別感がない。別に自分でも作れてしまうような家庭料理みたいなものばかり。

なんかね、こういうのを見てしまうと、メディアでおいしいとか優れているとか紹介されているものって、ホントかよ?って疑心暗鬼になってしまいます。
やっぱり嘘はいけません。物は言いようで、嘘をつかない範囲で褒めてあげれば良いのに。
「家庭的な感じがいいね」とか、「こういった素朴なものは、何度食べても飽きないよね」とか、「いつも豪華なものばかり食べていると、たまにはこういうものが食べたくなるよね」とか(笑)。

結局最後まで観てしまったのですが、とてもショックなことがありました。
先代の女将さん、お亡くなりになっていました。とても寂しい。
お線香をあげに行きたい気持ちもありますが、これはまた別の話…