献血 58回目 声の力

2022/2/15 有楽町献血ルーム 成分献血(血小板)

赤血球を作るのにブドウ糖が必要だと知って、献血の時は糖質制限を緩めて、少し多めに糖質のものを食べるようにしています。まぁ、今回は成分献血なので、赤血球はあまり関係ないのかもしれませんが、それでもやっぱり血液の状態を少しでも良くしておきたいと思うのです。
糖質をたくさん摂るとビタミンBがたくさん消費されるので、出かける前に、少し多めにビタミンBミックスのサプリメントを飲んでおきました。ビタミンBが足りなくなると、吃音の症状も悪くなるようですので。
献血では本人確認が何度となくあります。その度に自分の名前を言わなくてはならないのですが、吃音の人の大半はこれが苦手。でも、ビタミンBを飲んでおいたお陰なのか、今日はわりとスッと言葉が出ました。

私は自分の声がとても嫌です。聞きたくない。
自分の声を聞くと吃音を意識してしまうというのもあるのですが、例えば録音された自分の声を聞いてみたりすると、こもっていてなんて言っているのかはっきりと聞き取れないこともあります。
自分ではちゃんと言えたって思った時でも、はっきりと聞き取れなかったのか、聞き返されてしまうことがあって、そうなるとパニックになります。もう一度ってなると、なかなか言えないものです。意識しすぎてしまいます。
こんな感じで、どんどん自分の声が嫌いになってきます。

今日、私を担当した若い看護師さんの声がとても優しく響いて、ステキだなぁと思ったのです。
声って容姿よりも心をくすぐりますね。

実は、私がよく行くパン屋さんの奥さんの声や話し方によく似ていて、このパン屋さんに通っている最大の理由は、この奥さんの声が聞きたいからなのです(笑)。
もちろん、パンがおいしくなければ、毎週毎週、食べるわけにはいかなくなりますが、一番の理由と聞かれれば、パンよりも奥さんの声ということになってしまうかな。

また、私はNHKの中山果奈アナウンサーが大好きなのですが、この人の声もやっぱり好き。ただこの人の場合は、優しく響くからというわけでもないのです。
以前に地震の緊急警報が流れた時に、画面が切り替わって、この中山アナウンサーが出てきたんですね。その時の声がとても力強くて、ものすごくメッセージとして伝わってきました。この人の言うことなら、ハイ、って素直に従ってしまうしかないなという力強さ。もしかしたらこの人は、政治家になるといいかもしれないと思いましたもの。個人的には、安倍さんとか菅さんとか、聞くのが嫌になってしまうような感じでしたから...。政治家の声って、ほとんど素直に入ってこないんです。

話を元に戻します。

看護師さんにとって、声が優しく響くって、ものすごい才能ですよね。
もちろん、それだけではいけないし、時には毅然とした態度で強く言わなければならない時もあるのでしょう。
でも、その優しい響きが、患者さんをとても安心させてくれる時があります。

以前に扁桃腺を腫らして、高熱が続いて入院した時があります。その時に診察室まで迎えに来てくれた看護師さんの声のなんて優しいこと。
ものすごく弱気になっていて、物を食べられないのはもちろん、水を飲めない、息をするのも大変な状態でしたので、それこそこのまま死んでしまうのではないかと思っていたくらいでした。そんな時に、こんなにやさしく声を掛けてもらって、涙が出てきてしまったのです。恥ずかしい。
人に優しくするっていうのは、優しくした分、その人を背負ってしまう部分があると思います。もしかしたら才能とかでは語れないほど、自分自身を削ってしまうのかもしれない。そういう人を見ると、こちらもそれに対して応えてあげなくてはと思います。

自分が入院した時、何人かの看護師さんにお世話になりましたが、傾向として、男女問わず若い看護師さんの方が優しく接してくれていたような気がします。ベテランの方の中には、かなりきつい言い方をする人もいました。もちろん個人差はありますし、あくまで私が感じた一般的な傾向です。
これって、看護師さんを続けていく中で、初めは皆患者さんに優しく接していたのが、だんだん削られていってしまったのではないかな、そんな風に考えました。

献血ルームは病院に比べれば、命に関して緊急性もそれほどないかもしれません。それだから優しく接することもできるのかもしれない。
でも、声の響きはやっぱりその人がもともと持っている「才能」ですし、その才能が活かせるよう、削られっぱなしにならないように優しさを受ける側がちゃんと応えてあげたいな、そんな風に思うのでした。