読了 「僕は上手にしゃべれない」

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先週借りてきた本から、「僕は上手にしゃべれない」を読み終えました。
この本に興味を持った経緯は、こちらに書いています。

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感想としては、私自身も吃音者ですが、こんなにうまくいくはずないよな、こんなの小説の世界だけだよなという気持ちになっても、もしかしてこんな世界をイメージして生きていくことができたら、吃音を持っていても、多少なりとも楽に生きられるのかなと思いました。概ね、面白かったです。

主人公の悠太は吃音者。そして中学の入学式の当日から、自己紹介が怖くて仮病を使って保健室に逃げ込みます。とにかく話すことをできるだけ回避するのです。吃音者あるあるですね。私は入学式の日から回避したことはないけど、似たような経験は数えきれないほどあります。
悠太は小学生のころは吃音のためにいじめにあい、ずっと孤独感を感じていました。
ずっと独りぼっちだと思い込んでいたのですが、たくさんの人が自分の吃音を心配してくれていることに気が付きます。その中には意外な人も。

悠太のセリフは、すべて吃音丸出しで書いてあります。
吃音者が登場する小説の大半は、普通にセリフを書いて、「・・・・」と詰まりながら言った、みたいな補足をつけるのが当たり前の中で、ここまで吃音を表現したセリフを書いているというのも珍しい。吃音当事者の私としては、少し辛い気持ちになってきてしまいました。でももしかしたら、正音者(吃音ではない人)でも、一文字一文字しっかりと読み進めると、吃音者の辛さのひとかけらでも感じることができるのかも知れません。
そういった意味で、この本は正音者が吃音を理解するのに、役に立つのかな。
これはこの本が出版された当時に、著者の方が出演していたYouTubeの動画で語っておられましたが、やっぱりそのように意図してそのような表現をしたのだそうです。
著者自身が吃音者で、セリフを書くときは、自分でしゃべってみて、そのとおりにかいたということです。


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ほとんどの場合、大人になってから吃音が治ることは難しいです。治った人がいないわけでもないですが、それは奇跡に等しい。そして、治ったという人の中でも、実際には治ったというよりは、吃音をコントロールできている、という状態なのではないかと思います。またいつコントロールできなくなるのか、そういった不安を抱えているのではないか。実際に私も、一時期、吃音をコントロールできている状態になったこともありますし。スーパーでレジをやっている時には、ほとんど言葉が詰まらなかったのです。自分とは違う人格が私の身体に乗り移って喋っているような、そんな不思議な感覚でした。それもいつコントロールできなくなるのか、いつも不安に思っていました。

それでも生きていかなくてはならない、そして勇気を出して一歩前に踏み出なければならない時があります。悠太はその一歩を踏み出すわけですが、それは心理的な安全があってのこと。
時と場合によりますが、うまく話せなくてもいいんだよ、そういう前提があって、少しずつ心理的な安全を感じることができるのではないのかなと思っています。吃音者は特に敏感になっていますので、その状態になるまで、焦らずに待ってあげることがとても大切なのではないかなと思うのです。
私もできることなら、吃音者や何か困難なことを抱えている人に、心理的な安全を提供できるような人になりたい。世界がそういったことを意識して回ってくれたら、たくさんの人が勇気をもって次の一歩を踏み出すことができるはず、そう思っています。

あと、物語の途中で、悠太がアニメの台本で話す練習をするシーンがありますが、私は、少し練習は必要ですが、これはとても有効なのではないかと思っているのです。上にも書きましたが、私がレジで自分以外の誰かが乗り移っているような感覚、つまり自分以外の誰かを演じること。演劇を学ぶのも良いのかなと思います。

悠太にはもう一つ勇気をもって踏み出したいことがあります。
それは最後のシーンです。
もしかしてこれから読む人もいるかもしれないので、ネタバレにならないように、ここでおしまいにしておきます。ガンバレ悠太!(笑)

最近、ちょっと鬱っぽくなっていて、思うようにブログを書けなくなっていたのDすが、やっと楽になってきました。
書きかけの記事を一気に書き上げました。
よろしかったらそちらもご覧ください。
(日付はアップする予定だった日になっています。)

 

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