読了「発達障害のいま」杉山登志郎著

なぜこの本を図書館に予約を入れてしまったのか、今となっては憶えていないし、どうせ医師の書いた本なんて、真新しい内容ではないんだよな、などと読む前からなぜか否定的になっていた私。
タイトルは「いま」となっていますが、もう10年以上前に出版された本ですし...。

でもまぁ、せっかく借りてきてしまったのだから、とりあえず時間の許す限り、少しでも読んでみるかと読み始めてみたら、あらあら、結構のめり込んで読んでしまいました。

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私にはどうやら自閉症スペクトラムの気がある。(そして吃音も発達障害だし)
社交不安障害で通院したこともあるし、子供の頃のトラウマ、そして最近読んだ認知特性の本。

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私は、こういった脳の異常?や特異性が、本質的には同じ根を持つものだと思っているのですが、これらを関連づけて解説しているものはなかなかなくて、むしろそれらを全く別のものだとしているものばかりのような気がします。
この本では、これらを関連づけて解説していて、あ、医者にもそういう見方をする人がいるのだなと、なんだか自分の感覚が間違っていないのかもと、そう思うのでした。
あとこれらに加えて、HSPも含めて書いてあったらなお良かったなと思いますが、もう10年以上も前の本です。それは仕方ない。HSPの概念はすでにその頃にはあったと思いますが、大きく取り上げられるようになったのは、ほんの数年前ですから。

例えば、発達障害の人には、認知特性が偏っている人が多くて、まあそれは聴覚(言語)偏重だったり、視覚偏重だったりするわけですが(私は視覚偏重)、認知が強すぎるがゆえにトラウマを背負ってしまうことも多いのだとか。視覚偏重の人の場合、トラウマになったことが映像としてフラッシュバックするわけですが、このフラッシュバックを幻覚とみなされて統合失調症と診断されてしまうこともある。
また、本当につらい体験をするとき、この辛さから逃げようとして、人格が乖離してしまうことがあり、これが2重人格や多重人格と呼ばれるものなのですが、もう一つの人格が外から自分を観察し、話しかけてくる。これが幻聴と捉えられて、やはり統合失調症と診断されてしまう。

実に興味深く読みました。
できれば、そこに脳のエネルギーについても加えて解説してあったらなお良いなと思うのですが、やはりもう10年以上も前の本です。これからに期待したい。
この著者の本を、少し追いかけてみたいなと思いました。