米粉パンのススメ② 米粉パンに使う米粉について

米粉パンをまだ食べたこともないような人が、最初からいきなり自分で焼いてみようとは思わないとは思いますが、その辺のところはまずは目を瞑ってくださいね。

米粉からパンを作る時、製パン用と表記されているもの、特にグルテンを添加しなくて良いよと書いてあるものを必ず選ぶようにします。

とは言え、スーパーでそのようなものにお目にかかることはまずないと思います。
製パン材料の専門店でもなければ、なかなか売っていません。
もう少し手軽に買えるようにならないかなとは思いますが、まぁ、今なら通販が充実していますので、それで何とか手に入れることができますね。

つまり、普通の米粉では、膨らまないのです。
普通の米粉で焼いた場合、餅というか、ういろうというか、なかなか食べるのが困難なものが出来上がってしまいます。
私の場合、失敗は罰ゲームとして、全て自分で食べるということを自分に課していますので、これは絶対に避けたいのです。
皆さんも、失敗しても、捨てたりしないようにしてくださいね。
とんでもないものが出来上がっても、どうやったらおいしくいただけるか、そこに焦点を合わせましょう。

つまり、普通の米粉では、膨らまない。
小麦粉のパンは、粘り気の強いグルテンというたんぱく質によって膨らむのです。
米粉には、グルテンも、グルテンに代わるものも入っていないのです。

詳しい原理は私自身よくわかっていませんが、米粉パンを膨らませるためには、使う米粉がタンパク質の損傷が少ないものでなければいけません。
特殊な技術が必要なのです。

良く膨らむ米粉として、ミズホチカラという品種のお米から作った米粉が有名です。
米粉パンにはたんぱく質が多い品種が向いていると言われ、確かにミズホチカラは良く膨らみますが、製粉の方法次第では、コシヒカリのような糖質の多い品種でも十分に膨らみます。

数年前になりますが、とある食品会社が米粉の事業に進出するということで、米粉製品の試食会がありまして、そこに出席させていただいた時のこと。
米粉100%の米粉パンが出てきて、これがコシヒカリ100%だったのですね。
自分としてはコシヒカリ米粉パンには向かないという認識だったので、その辺りの事情をそのメーカーの技術担当の方に質問してみたのですよ、
その人が言うことには、製粉の仕方次第でコシヒカリでも十分に膨らむし、ミズホチカラがパン用に使われているのは、パンに向くからというよりもむしろ、もともと飼料用だったり、あまり高い値段がつかないところに価値を与えようとしているだけ、そのようなことをおっしゃっていました。

無理を言って、そのコシヒカリ100%の米粉をいただいて、自分でパンを焼いてみたら、確かにミズホチカラとそれほど変わらない膨らみ方をしました。
そして、ミズホチカラと比べて、かなり美味しかった。
正直なところ、ミズホチカラの米粉パンっておいしくないなと思っていたのです。
サンドイッチや何か他に味付をすれば、それなりにおいしくいただけますが、バターだけでトーストというとちょっとね...。

この通り、米粉パン用の米粉を作るには特別な技術が必要です。
それはたぶん、企業秘密にするほどのことではないのかも知れませんが、それでも設備投資は必要です。

世界的な食糧不足の今、日本のお米とこの製粉技術を世界にアピールする良いチャンスだと思うんですけどね。

前回の記事にも書きましたが、小麦粉を食べてはいけない病気はあるわけで、それは日本よりも欧米の人に多い。そういう人たち向けに米粉のパンをアピールしても良いのかなとも思います。

私がよく行く米粉パンのお店でも、ときどき外国人の方がまとめてたくさん買っているのを見かけます。私が買う何倍も買っているのです。
冷凍保存ができるので、まとめて買って毎日食卓に上がっているのかなと思います。
パンを主食にする文化の人たちにとって、パンが食べられないというのは、日本人には想像もできないくらい寂しいことなのではないかな。
そういう人たちのためにも、米粉パンが活躍してくれたらなと思うわけです。

米粉の事業に政府主導で日本全体がとりかかっても良いのかなと思っています。大げさ?(笑)

少なくとも、製パン業界No1のY社やNo2のP社あたりが真剣に商品開発を行なったら、一気に進むと思うんだけどな。
ただ、アレルギー対応食品となると、混入を防ぐために、今使っている小麦粉のパンの工場を使えず、米粉パン専用工場を作らなければならないのが難しいのかな。

あと、問題は、保存性のこと。
米粉パンはとても乾燥しやすく、パサつきやすい。
また、小麦粉のパンに比べて、固くなるのが早い。

それならいっそのこと、初めから焼きたてを急速冷凍して、冷凍食品の売り場で売るというのもありかなとも思います。これならもしかしたら、自然解凍だけでおいしくいただけるかも。

 

...妄想は尽きません。

つまりは、アレルギーの出にくいといわれるお米を、パンを主食とする文化の国にもアピールするには、今は絶好のチャンス、ただそれを言いたかったのです。
途上国への支援なら、この製パン用の米粉と、そして米粉パンを焼く技術、これを送ってあげたら良いのに、そう思うのです。