こんな秋刀魚は食べたくないと思った話。

父の月命日が近づいてきていたので、恒例の穴子を買いに行かなければと思っていました。
いつもは歩いて1時間ちょっとかかる魚屋さんまで買いに行っています。その魚屋さんは、必ず穴子があるし、しかもいつもとても安く売っています。ところが、行こうと思っていた日にワクチンの予約をしてしまっていることに気が付きました。
副反応とか考えると、ワクチン接種の後に、お往復で2時間半もかけて歩くのはちょっときつい。今回はあきらめて、少し割高になりますが、近くで買うことにしました。

駅の方に行った帰りに、駅地下の魚屋さんに寄って、まあこれくらいならいいかなと思える値段。これは買うとして、他に何かないかなと物色していたら、夕方の6時頃で値引きが始まっていました。
180円の新物の秋刀魚が4尾で400円。ちょっと小さいけど、昨今の秋刀魚の高騰を考えると、十分に安い。頭が落としてあったのは残念でしたが、愛想の良い外国人の店員さんの笑顔にだまされてしまったのかもしれません。あまりモノを見ずに買っちゃったけれど、それがまずかったようです。

私は秋刀魚のお刺身が大好きです。
味はもちろん好きですが、見た目もオレンジ色の血合いがとてもきれいなんです。
スーパーで働いていた時は、秋刀魚が出始める8月の後半、ちょっと高いけどサイズの大きいものをお刺身用にわざわざ仕入れていました。当時は、高いといっても、今のあんなにちっちゃい秋刀魚と同じくらいの値段でとても立派な秋刀魚が手に入りました。

秋刀魚のサイズって、同じくらいの大きさのさんまを4㎏箱に入れて、そのさんまの数で表示されるのです。つまり数字が小さい方が秋刀魚は大きいのです。
最近、スーパーで店頭に並んでいる秋刀魚は、だいたい28尾から30尾サイズですね。
今はこんな小っちゃいのが200円位でしょうか。
25尾サイズになると、特大と表示されて売っていますね。
私がスーパーで働いていた時は、25尾サイズが普通でした。これがだいたい100円位。
お刺身用で仕入れていたのは22~23尾サイズ。だいたい200円位で売っていたような気がします。
この少しの差で脂の乗り方がだいぶ変わってきてしまうので、大きいサイズの秋刀魚は、多少高くてもよく売れました。

どうも秋刀魚のお刺身は、秋刀魚の出始めの頃が一番おいしいような気がします。
何となく、秋になって最盛期になると、数が多い分だけ扱いが雑になっているような気がするのです。勝手な妄想ですので、これが真実かどうかは何とも言えませんが。

で、こんなことはすっかり忘れて、今回買った秋刀魚、この値段の安さには抗えませんでした。何となく、お刺身でいけたらいいなくらいに思っていました。f:id:tohost32503:20210927220718j:plain

家に帰ってから見てみたら、内臓で袋の中がべとべとでした。
本当に頭だけ落として、内臓はほとんどそのままでした。
私がスーパーの鮮魚で働いていた時は、お客様に頼まれれば、頭を落としたりいろいろやったものですが、え?これでいいの?と思ってしまった。
普段からお店で頭を落としてもらったり、ワタを取ってもらったりすることがないので、一般のお店がどうやっているのか分からないけど、私がやっていた時はこんなことしなかった。
手で徹底的に洗って、それでも落ちなければ歯ブラシまで使って汚れを落としていました。歯ブラシは私の使い古しではないですよ(笑)。このためにわざわざ用意したものです。歯ブラシはとてもやわらかくて、魚をこすってもほとんど傷がつきません。
汚れているだけではなくて、とても鮮度が悪い。横隔膜は完全に溶けてしまっているし、お刺身にしようなんて夢のまた夢。
これはもう煮るしかないかな...と思ったのですが、煮魚ってあまり好きではないんですよね。
焼き魚ってとても鮮度を要求される。と誰かがテレビで言っていました。それはお刺身以上なんですって。それが何となくわかるのは、鮮度の落ちた鯵で開きを作ると、焼いた時にバラバラになってしまうんです。
だから煮魚の前に焼き魚にするという発想はありませんでした。
結局、開いてフライにすることに。

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ここまでやってふと気が付いたのですが、この長さだとうちにあるお鍋では収まらない。仕方ないんで、尻尾を落として半分に切りました。
さらにパン粉も少ししかない。むりやり付けましたが、残念な出来になってしまいました。

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なんだかいまいちおいしくなかったな。
いっぺんに全部食べられないので、パン粉をつけた後に冷凍にしましたが、これを食べ終わったら今シーズンの秋刀魚はお終いでいいやと思いました。なんだかありがたくいただくようなものでもなくなっているな。

安いからといって飛びついてはいけない、ちゃんとモノを見極めましょうという話でした。