食事法なんてひとそれぞれ好きにすればよいけれど、私は糖質制限とタンパク質・脂質中心の食事は続けていこうと思っていますよ。

てんかんにはケトン食といって、エネルギーのほとんどを脂質で摂るという食事法が有効だとされています。
てんかんというのは、神経がうまく作動しないで、患者さん本人の意思とは違う動きをしてしまう病気。そういう意味では、パーキンソン病や吃音、イップスなども同じようなものなのかなと思っていたのですが、やはりパーキンソン病にも有効だったり、他には認知症にも効くといった文献もあったりで、神経の障害全般に効果があるのかなという気がしていました。もちろん、私の吃音にも何か効果があるのではないかと。

そんな感じで興味を持っている脂質中心の食事ですが、本屋さんに行く度にその手の本を見つけると興味津々になります。

そして手にしたのがこちらの本。

パラパラとめくってみたら、脂質を十分に摂ることに加え、糖質制限はもちろんのこと、タンパク質も摂り過ぎには注意しなさいというのです。タンパク質は悪であるくらいののりで書いてあって、そこがちょっと気になって読んでみました。

要は細胞内にあるミトコンドリアを活性化させて、細胞のエネルギー産生を活発にするというもの。そのためには、糖質はできるだけ控えなさいというものでした。

身体に糖が余剰にあると、細胞のエネルギー産生が効率悪くなるのです。

糖質を摂取して血糖値が上がると、インスリンが分泌されて糖は筋肉に取り込まれ、そして体脂肪となるわけですが、個人差はありますが、インスリンの過剰な分泌は血糖値を下げて、かえってエネルギー不足の原因になる。
できるだけ体内のインスリンが少ない状態を保ちたいというもの。

実際に、インスリンは糖を摂らなくても、最小限、常に分泌されています。
筋肉が糖をグリコーゲンとして取り込むには、それで十分です。
糖は足りなくなれば、肝臓で新糖生によりタンパク質から生成されます。
人が生きていくためにはそれで十分ではないかということです。

太る太らないということだけで判断すれば、糖質制限をするとインスリン感受性が高まり、少しのインスリンでたくさんの糖を取り込めるようになります。
よく糖質制限はリバウンドしやすいと言われるのは、これが原因だと思われます。
体脂肪が付きやすくなり、確かに太る原因になるかもしれない。

しかしそれよりも問題なのは、インスリン抵抗性です。
血糖値がいつも高い状態になると、次第にインスリンが効かなくなり、糖を取り込めなくなります。これが進めば糖尿病ということになります。
エネルギーを作れないばかりか、血管を傷める原因にもなりますね。

そして、体内に十分に糖があるうちは、つまり高血糖下では脂質のエネルギー代謝も滞るのです。
糖をエネルギーとして使えないばかりか、脂質も使えなくなってしまう。
慢性的なエネルギー不足になるのです。

つまり、摂った糖は早いところ体脂肪に変わってもらった方が、エネルギー産生としては都合がよい。体脂肪が付くことが身体に悪いというよりも、体脂肪をエネルギーとして使えないことの方がよほど危険です。

体脂肪をエネルギーとして使うためには、やはり血糖値をできるだけ上げたくない。
血糖値を上げないためには、糖質を控えて脂質をエネルギーの中心として使いましょうということです。

この本では、タンパク質の過剰摂取も避けたいとなっています。身体を作るのに十分なタンパク質を摂れば、それ以上はいらないし、摂り過ぎはかえって良くない。
それはタンパク質の過剰摂取により発がん性の物質が分泌されるというようなことも書かれていましたが、なんと言っても新糖生により糖を過剰に生成してしまうからというのが最大の理由だと思います。これによりインスリンが過剰に分泌されて、エネルギー不足になるのだと。
著者は(体重)-(体脂肪)のg数のたんぱく質をきっちり量って、必要な分だけを摂るようにしなさいとしています。
例えば体重80㎏で体脂肪率25%なら、体脂肪は20㎏になりますから、80-20=60g

まぁ、これは例外がたくさんあって、成長期の子供、これから出産を考えている男女(男の方もです)、筋肉が落ちてしまう高齢者などは、もっとたくさん摂らなければならないとしています。
私は、例えばHSPなどの繊細な人(神経細胞が多い人)も、もしかしたら多めのタンパク質が必要なのではないかと考えています。

体調が悪い原因がタンパク質不足であることはよくあること。
たぶん、今健康な人がそれを維持するためにこの本の食事法を行なうなら、タンパク質も制限した方が良いのかもしれませんが、タンパク質不足を疑われるような不調を改善したいなら、やはりタンパク質は多めに摂った方が良いのかなと思っています。
私は少しタンパク質を控えてみましたが、どうも力が湧いてこない。
私の場合は、どうしてもタンパク質不足を疑わなければならないのかなと思っています。

ちなみに、この本には鉄分の摂り過ぎにも警告を示していますが、そこに関しては今のところ、私がちょっとまだ理解できていないので、今回はそこには触れないでおきたいと思います。

細胞のエネルギー、最近それをものすごく実感するのは、お腹の調子が良いということ。
もともとは下痢と便秘を繰り返していました。
お腹に良いとされるものを食べても、全く改善しない。
むしろ悪くなることもありました。
今から思うと、それは腸の細胞のエネルギー不足が原因だったのではないのかなって気がしています。
細胞がエネルギーを作れるようになってきて、腸が動くようになってきた。

全ては細胞でエネルギーを作れなければ、根本的な解決には至らないということ。
特に繊細な人は気を付けた方が良いと思います。
神経細胞が多いと、それだけで何もしていなくてもエネルギーを消費します。何もしなくても疲れてしまう。疲れを感じるのは、エネルギー不足が原因です。
最近、身をもって実感しています。

未だにPFCバランスが最も大事で、糖質制限は悪だとしている医師もいますね。誰が何を信じようと好きにすればよいと思います。
でも、糖尿病となればそうは言ってられない。
私の叔母は糖尿病でした。
医師からの指示をきっちり守って、PFCバランスを徹底して計算して食事を摂っていました。
でも、病気は進行するばかり。
失明して、透析が必要になって、そして、透析中に意識を失って亡くなりました。

一方で、やはり糖尿病だった父は、自己流の食事制限をしていました。
あれだけ好きだったビールは一切飲まなくなり、お酒は焼酎ばかり。
それ以外にも、甘いものや糖質の多いものを食べていたという記憶がありません。
どこでどう学んだのかは知りませんが、今から思うと糖質制限になっていたような気がします。
その父は、糖尿についてはかなり改善されて、医師からも好きなものを好きなだけ食べてももう大丈夫と太鼓判を押されました。

糖尿には、絶対に糖質制限は必要です。
父の場合は、その代わりにエネルギーとなる脂質多めのものを食べることは少なかったので、残念ながらヘロヘロにはなっていましたけれど(笑)。

血糖値を上げずに細胞のエネルギーを十分に効率よく作り出す。
そのためには、糖質制限と脂質中心のエネルギー摂取。
何となく調子が悪いとか、思うようにその調子の悪さが改善しないとか、そういう場合はこの脂質中心の食事を試してみる価値は十分にあるのではないかと思っています。

とは言え、全ては自己責任。
自分の思うようにやったら良い。
私はじわじわと実感しているので、このまま続けていきます。

 

※本には、飢餓と飽食を織り交ぜて、時には好きなものを思う存分食べた方が良いと書いてあって、え!甘いものでも思う存分食べる時があっても良いの?と一瞬喜んでしまいましたが、それは誤りでした。

甘いものは控えて、炭水化物は質の良いもの、つまり糖質控えめで繊維質の多いものを選びなさいって。
残念(笑)。