日本全体が進むべき方向はこんな感じなのかなと思ったこと。

献血の時は本を読んでいますが、最近の献血のお供の本はこちら。

本屋さんでタイトルが気になって、図書館で借りて少し読んでみたらとても面白い。結局買ってしまいました。

著者は農業法人を経営していて、彼の視線から見た今の日本の農業が抱えている問題や進むべき方向を書いています。

今の農業の一番の問題点は、大規模集約化がなかなか進まないこと。

集約化しても、小規模の農家が生き残ることはできる。

実際、彼は小さい農場を経営しています。

大規模集約化が進んでもっと効率的に栽培できないと、人の手がかかるばかりで、いつまで経っても前へ進まない。

でもやろうとすれば、現状の小規模の農家からの反発がすごい。

でもね、大規模集約化でも必ず隙間はできるし、集約化が進めば進むほどその隙間は大きくなる。効率よく進めていこうとしても、どうしてもそれに馴染めない人がいて、そこの部分を満足させる、その隙間を担うのが小規模農家であれば良いのだとしています。つまり、大規模集約化が進めば進むほど、小規模の農家の活躍が重要になってくる。

著者自身もまた、その隙間を埋めるようなやり方を探っている。

面白いなと思ったのは、彼は有機栽培をやっていますが、その動機です。

有機栽培の野菜が安全だとか栄養価が高いとか、それについてはあまり重要視していなくて、有機栽培にこだわるといろいろな制約がある。それを一つ一つ解決していくのが楽しいのだそうです。

あれ?誰かににている(笑)。

どこかにお砂糖を使わずに○○とか、小麦粉を遣わずに○○とか、健康のためというよりもそれが楽しいからやっているという人いましたよね...あ、それ私だ(笑)。

結局、著者は「農薬を使ったら負けた気がする」「化学肥料を使ったら負けた気がする」という人なのでしょう。

大規模集約化が進めば隙間ができて、そこを埋めるのが小さな農家というのも、私も同じようなことを考えていました。

私の場合は農業ではなくて、スーパーの話なのですけれど。

スーパーだって大規模の店舗がどんどんできて、最近はまいばすけっとみたいな、大資本の傘下にある小さなスーパーが、大規模店舗が入ってこれないような場所まで進出してきてしまった。これは既存の個人店や零細のお店にとっては大打撃なのですよ。

そこで小さいお店が生き残ろうとしたら、隙間を埋めるようなやり方しかないんですよね。何かに特化して、大規模集約化によって取り残された部分を担う。

小さなお店だからといって、商圏を地元の小さな範囲に設定するのはダメ。それではお店を維持できる程度の収益さえ出ないです。通販を利用するなどして、それこそ日本中から集客するくらいになるのかなと。

まぁ、そこまで大きく設定しなくても、ここに来れば特別な物を買えるというプレミアム感をもって、できるだけ遠くからでもお客さんが来るように努める。

そこで重要なのは、商品の品質はもちろんだし、そこに一定の需要が見込めないともちろんダメなんですけど、それに加えて、そのお店を愛してもらえるかっていうことなんですよね。

私は、買い物というのは、ある意味投票のような物だと思っています。そのお店が必要なら、買い物をすることによって投票する。

魅力は商品だけではないんですよね。

小さなお店なら、少なくとも私の場合は、買い物はそのお店の方に会いに行くという要素がとても大きい。

本の著者の久松氏も、その部分に言及しています。商品の魅力とは別に、愛されポイントを作るということ。

例えば外箱がかわいいとか、そういうことでもかまわない。理性では割りきれない、エモーショナルな部分。

自分がスーパーについて考えていたことが、農業の世界でも同じことが言えるのだなと、興味深くこの本を読みました。

あ、まだ全部は読んでなかった😆

安芸高田市の石丸市長の切り抜き動画が、最近はYouTubeのおすすめで頻繁に流れてきます。

その中で少し気になったのが、市長が市民の要望に返答していくというもの。その動画がなかなか見つからないのですが、こんな感じでした。

○○のような施設があったら住みやすい

という要望に、石丸市長は、はっきりとそれは無理ですと答えていました。

人気取りに走らず、そこまではっきりと言える態度は立派だと思いました。

厳しい財政の中で、住みやすい町を実現するのは無理。住みやすさを求めるなら、大都市に行ってもらうしかない。

石丸市長が目指すのは、住みやすい町ではなくて、住みたくなる町。

つまり、日本全体が大規模集約化が進まないとたち行かなくなるなかで、小さな都市の役割は、その集約化に違和感を感じる人たちの受け皿なのかなと、そう感じました。

そうなった時に、住みやすいよりも住みたくなる町を目指すというのは、すごく納得がいく。

つまりは、愛されポイントが大事(笑)。

スーパーも農業も市政も、日本全体が進むべき方向は同じなのかなと、そんなことを考えていた今日この頃なのでした。