君が人生の時...~Time of Your Life

以前の記事で「続きがあります」と書いて、2か月近くも放置してしまった。
憶えている方、気になっている方はたぶんいないと思うけれど、その続きを書きます。

tohost3250303.hatenablog.com

私と同世代の女性の方がギターの弾き語りをやっているYouTubeチャンネルにはまっていて、そこに浜田省吾さんの「PAIN」をリクエストしたという話でした。

私の他にもいろいろな人がいろいろな歌をリクエストしているようです。

その中でこんな歌をリクエストしている人がいて…
沢田聖子「息子からの伝言」

911をテーマにした歌です。
ものすごく重い歌です。YouTubeをはっておきますが、聴かない方が良いかと思います。


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何も知らない私は、どんな歌なのか検索して聴いてしまいましたが、これはちょっと…と思ってしまった。
誰も救わない、誰も癒されない。
ただ辛い気持ちを呼び起こすだけ。
正直、そんな感想でした。聴かなければ良かった。

そのYouTubeの女性の方も、すぐにはそのリクエストには応えられないようで、この歌を歌える気持ちにまで持っていける自信が無いと返信していました。

この歌を聴きたいという人がいるのは全然かまわないと思う。
でも、自分の想いを他人に背負わせるのはどうなのかなと思ってしまったのです。
でもね、それを言うなら私だって「PAIN」をリクエストして背負わせようとしてしまったわけです。
なんだかとても申し訳ない気持ちが溢れ出てきてしまった。

そんなことをコメントに書いたら、彼女からの返事は「私の歌声で聴きたいと思ってくれるだけでとても嬉しい」とのことでした。
この人は、ちっぽけな私など超越しているなと思ったよ。女神のような人。(ちょっと言い過ぎか(笑))

彼女は正直言って歌もギターもものすごくうまいというわけではない。
ギターはミスタッチだらけだし。
でも歌声がとても優しく響くんだ。

そう言えば、こないだテレビのオーディション番組を何気なく見ていたんだけど、途中で気持ち悪くなってきた。
何となく審査員も含めて、仲間内で盛り上がっているだけで、誰に向かって歌っているのかわからない。歌っている本人が悦に入って自分に酔っている。
伝わってくるメッセージは「私、歌うまいでしょう」くらいなものでした。
あまりきれいな言葉ではないけど、オ〇ニーを見ているようで、辛くなってきてチャンネルを換えた。
こういうのを好きな人がいても良いとは思うけど、少なくとも私は無理でした。

彼女にはそういったところが全くない。
伝わってくるメッセージはいつだって「歌が好き」

歌声はいつだって優しく響いて、それはまるで「お母さん」の歌声です。
お母さんが子供に歌う時って、いちいち自分の歌がうまいかなんて気にしちゃいないよね(笑)。ただただ好きな歌が気持ちと一緒に溢れ出てくる。

そのYouTubeチャンネルで、今度は浜田省吾さんの「君が人生の時」がアップされていました。
まだ20代の頃の浜省が、人生を歌ったものです。もう40年以上も前の歌。
浜省の歌を貼り付けておきます。


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浜省の言えば、私には「風を感じて」と並んで、真っ先に思い浮かぶ歌です。
こんなに好きだったのに、すっかり脳の片隅から姿を消していました。
子どもの頃、初めて聴いた時は何だかわからなかった。
中学生か高校生の頃、「ひたすら生きてくだけ」の歌詞が引っかかった。
大人になってやっと、自分なりの解釈ができるようになった気がする。

あんなに私に寄り添って、助けてくれていた歌が、自分の脳の片隅にもなくなってしまっていたことがショックでした。
自分の「好き」って一体何だったのだろうって思ったら、悔しい気持ちになってしまった。

YouTubeの女性は、私とほぼ同世代。
同じ時代を生きてきて、この人の「好き」と私の「好き」とが重なる部分がたくさんあって、たくさんのことを思い出します。
しかもこの人は、自分の「好き」をずーっと貫いてきた人。
私がすっかり忘れていた大切なもの、自分の「好き」を思い出させてくれる。

このところ、脳内でこの「君が人生の時」がグルグル回っています。

喜び悲しみ 今日も つづれ織りながら
明日へと心をつなぎ ひたすら生きてくだけ

あふれでる愛を幾つも 誰かにそそいで
傷つき そして立ち直り
ひたすら愛するだけ

もう私の人生は折り返しをとっくに過ぎていますが、残りの人生はこんな生き方ができたらいいな。

最近、ある男の死を知った。

however-down.hatenablog.com

私は語れるほど彼のことを知っているわけではないが、ブログを読む限り、彼の生き方は、この「君が人生の時」そのものではないかと思った。
彼のためにこの歌を歌いたいと思い、ネットでコードだけ確認して、簡単なアルペジオではあるけどギターを弾きながら歌った。

…歌うつもりだった。
でも声が詰まって歌えなかったよ。(けっして吃音ということではない)

まだまだ修行が足りないなと思った…。

 

彼には、ここまでよく頑張ったね、お疲れ様でした、と声をかけてあげたい。