まぐろの香りで思い出す

人様の子育てブログを読んでいると、当然と言っちゃぁ当然なんだけど、人それぞれいろいろだなと感じます

昨日のえりんぎさんのブログ

erieringi.hatenablog.com

子育てにあまり積極的でないえりんぎさんのだんなさんでも、息子さんを自分の好きな分野には連れまわしていたんですね

これを読んで、私は父親にどこかに連れて行ってもらったことはほとんど何もないなと思っていたんです

私の父は小さな食品スーパーを経営していましたが、仕事が全ての人
家ではとても神経質で笑わない
怖くて近寄りがたい存在でした

家で少しでも騒いだりしたらドスの利いた声で怒鳴られたものです
鉄拳制裁なんて当たり前

えりんぎさんのブログに、私は父親にはどこにも連れて行ってもらったことないよってコメントを書こうと思った時に、ハッと思い出しました

あったよ、連れて行ってもらったこと

と言っても仕事なんですけれどもね

魚市場です

夏休みとか冬休みとか、平日に学校がお休みになる時
何の前触れもなく、いきなり朝、というよりまだ真夜中、暗いうちにたたき起こされたのです

行くぞ

ってそれだけ
言うこと聞かないと怒られるので、兄と二人、渋々くっついて行きました

兄は人見知りとかもなく、いつもニコニコ
それに対して私は人が多いところがこの頃から苦手
行きたくなかったんですけれどね、行きたくないなんて言えない

市場はいつもとても慌ただしくて、私は父と兄の後ろをついていくのが精いっぱい
市場の人特有のダミ声の掛け声がとても耳障りだった

でもね、父は市場でとても顔の利く人だったこともあったのでしょうね、市場の人たちはとてもやさしかったな
それにしても、家では全く笑わない父が、市場では終始ニコニコしていたのは、とても不思議な感覚でした

で、市場の人は、あのダミ声で「兄ちゃんお手伝いか?えらいな!」って言って、お小遣いをくれたのですよ
当時の市場の人って、威勢が良くて気前が良くて、しかも羽振りが良い
まだ小学生の子供相手に、聖徳太子でした(今でいうところの諭吉)

まぁ、家に帰れば没収になってしまうんですけれどね(泣)
将来のために貯金するって言ってましたけど、実際にはいただいた金額にまた足して、お礼の品を買っていたようです
倍返しくらいのことはしていたかも

一通り回った後は、子供たちは市場の中にある寿司屋に連れて行かれました
兄と二人でお寿司を食べている間、父はもう一仕事していました
私は緊張しまくりで、お寿司の味なんかわからなかったけど(笑)

自分にとっては、無理やり連れて行かれた感が半端なくて、けっして良い思い出でもないのですが、父にとっては父親らしいことをしたという満足感を得られたのかな?

で、市場というと、鮮烈に憶えているのがにおい
嗅覚の記憶は何よりも強く残るっていいますよね

魚の生臭いにおいとは少し違うのですよ
どちらかというと、さわやかさ?まで感じるような良いにおい

子供心にこれは何のにおいだろ?って不思議に思っていたんですけれど、大人になって自分で市場に通うようになって、気がつきました

あれはまぐろのにおいだったんだな

まぐろって、良い状態のものは本当に良い独特の香りがするんですよね

祖父は毎日、晩酌でまぐろのブツ切りを食べていたので、祖父の月命日にはまぐろを食べることにしていますが、香りも含めると父のイメージの方が強いかもしれない

私にとって父はクソな人でしたが、まぐろの香りを感じる度に、何となく良い思い出になっちゃうんですよね、父のことが

家族って面倒くさい、って思っています
完全に切り離せたら良いなと思うこともありますが、まぐろの香りをかぐたびに引き戻されてしまっています
おいしいからそれでも良いのですけれど(笑)

 

Amazonの商品ページは、これをおすすめしていると言うわけでもなく、ましてや売り付けようなんて気持ちはサラサラ無くて、ただ面白そうだからというだけのことです。